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C83新刊『太陽と霖が望む空』

冬コミまで10日を切ったと言うことで、新刊の宣伝を。

東方ProjectFanBook『太陽と霖が望む空(たいようとながめがのぞむそら)』
文庫サイズ 120p 600円
コミックマーケット83・2日目
東地区“チ”ブロック-26a サークル「そらにし」にて、頒布いたします!
120pとか何やら少し厚くなりましたが、とりあえずすっぽりとまとめました。

そしてなんと今回、イラストを青犬さんに描いて頂きましたフフッフー!
表紙・裏表紙がこちら↓



うわ、ちょうかわいい。
ということで今回は、森近霖之助と霊烏路空のお話です。
表紙・裏表紙に加え、挿絵にも青犬さんの可愛いイラストがぎゅっと詰まっておりますので、どうぞお楽しみに。
会場ではポスターも飾る予定です。上のキュートなイラストのポスターなので、見かけた方は是非とも足を運んでみて下さいまし!

このまま下へ行くと、予告っぽくしてみた本文サンプルとなります。
ちょっとぼかしてますが、こういう感じの話だと感じて頂ければ。お暇な方は是非!
それでは、どうぞ。



--------------------


 初めて地上に出たとき、私はとても驚いたのを覚えている。
 そこかしこに生い茂る、木という植物。
 地底とは違った空気と温度。
 集団で暮らす人間という不思議な生き物。
 空という、どこまでも広がる大きな青い天井。

 そして何より驚いた物は、空に輝く一つの光。
 黒い太陽の八咫烏様じゃなくて、地上を照らす真の太陽。
 真っ直ぐ見ようとしても見れない位の眩しい輝き。体に伝わってくる暖かさ。
 その輝きが地上を照らし、暖かさが地上を包み、生き物を育んでいるんだとか。
 私は嬉しく思う。太陽は、地上に降り注ぐ希望の光。
 それと同じくらいの力を、私は手に入れることが出来たのだから。

 地上に出て来て本当に良かった。
 ずーっと地底にいた私にとって地上は、驚きで埋め尽くされた世界だったのだ。
 それとあの人に会えたことも、地上に出て良かったことだと思う。
 あの人が居なかったら、色んな事を知ることは出来なかった。
 それに、こんな不思議な気持ちにもなれなかった。
 私に色んな気持ちを教えてくれた、変なお店のおにーさん。

 えっと、確か名前は――










     ◆










 翼が濡れて、じめじめして気持ち悪い。
 服も濡れて、とっても動きづらい。


「うう、ここってどこなんだろう?」


 それに、上から落ちてくる水を避けるために低く飛んでいたら、変な森に迷い込んでしまった。
 何とか抜け出せたはいいけれど、私が今どこにいるのか全く分からない。


「……あっ! あれって家、かな?」


 キョロキョロと辺りを見渡していたら、ひとつの家を見つけた。
 この場所は良く分からないから、あの家で話を聞いてみようかな。
 濡れた翼を広げ、ゆっくりとその家へと近づいていく。


「色々変なのが置いてある……なんなんだろう、ここ」


 その家の周りには見たこともない置物や、変な立て札が飾ってあった。
 そして家の上部には木の看板が飾ってあって、読めない字で何かが書いてある。もしかしたら家の表札……なのかも。
 家の扉の前に立って、ちょっと考える。


「んー、良く分かんないけど、迷っちゃったから道を聞けばいいんだよね。えっと、こういう時は……おじゃまします!」


 そして私は、そのまま中へと足を踏み入れた!





















「おじゃまします!」


 軽快なカウベルの音と共に、香霖堂に不思議な来訪者が現れた。……全身ずぶ濡れの女性である。
 いつものようにカウンターの椅子に座り本を読んでいた僕、森近霖之助は、お客かもしれないその女性にさっと目を通した。
 白い半袖のブラウスに、膝丈程ある薄緑色のフリルスカート、腰まである長い黒髪に真紅の瞳。今の季節からすると、やけに早めな服装だ。
 髪は一部ポニーテールとなっていて、スカートと同じ色のリボンを留め具として付けている。背中には漆黒の翼が広がっており、その翼を覆うように宇宙を模した柄のマントを羽織っていた。翼から見るにおそらく、彼女は鴉、もしくは天狗の妖怪だろう。
 傘を持っていなかったのだろうか。彼女の髪と翼は濡れに濡れ、服は所々透けて肌色が見えてしまう程に水を吸ってしまっていた。


「……いらっしゃいませ。何か御用ですか?」
「道に迷っちゃって……えと、道を教えて頂けますかっ」
「む?」


 窺うように聞いた僕の質問に対し、彼女は姿勢を正したかと思うと少しカタコトに答えた。その言い方は、子供が知らない人に道を聞くかのような。まるで「こう言いなさい」と言われたことを忠実に行っているようなやり方。
 見た目と言動に、大きな齟齬があるように感じる。とりあえず、お客ではないということは良く分かった。


「道、ね。構わないよ。見る限り君は妖怪のようだから、人里に帰るなんてことは無いだろう。どこへ行くつもりだったんだい?」
「私? 私は……クシッ!」


 話そうとした彼女から、可愛らしいくしゃみが一つ。
 まずは、びしょ濡れな彼女の状態をどうにかするのが先決か。


「ふむ、このままだと風邪を拗らせるかもしれないか。少し待っていてくれ、着替えを持ってこよう。タオルはそこに掛かっているものを使ってくれ」
「いいの? ありがと、おにーさん」


 僕が指差した、入り口付近にあるタオルを彼女が手に取る。時折、びしょ濡れの状態で来店してくる二人の少女用に置いたタオルだ。こういう場合にも役立つようで、用意しておいて正解だったと思う。
 そう僕が脳内で自画自賛していると、


「んしょっ、と」
「なっ!? ちょっと待つんだ!」


 驚くべき事が起こったので、慌てて彼女を止めに入った。


「えっ、なに、どうしたの?」


 眼を丸くしてこちらを見る彼女。


「何もどうしたもない。……どうしてここで服を脱ぎ始めるんだ」


 あろうことか、彼女は脇目も憚らず着替えを始めたのである。初対面である人の前で着替え始めるとはどういった了見なのか。
 幸い上を脱ぎ始めたばかりで一枚も服は脱げていないのだが、もう少しで胸の部分が見えてしまうところだった。
 ……それと、付けていないのか、この妖怪は。


「タオル貰ったから体を拭こうと思ったんだけど……ダメだったの?」
「それ自体はダメという訳じゃない。ただ、時と場所を考えて欲しいという事だ」
「ん、んー?」


 何がいけなかったのか、とでも言うかのように彼女が首を傾げた。その様子から、本当に彼女が理解していないことが窺える。
 どうやら彼女は見た目に反し、言動に幼さが大きく残っているようだ。僕を「おにーさん」などと呼ぶ辺りからして、この見解で間違ってはいないだろう。
 一体、幻想郷の常識はどうなっているのだろうか。だがしかし、このまま彼女を着替えさせない訳にもいかない。


「……分かった、とりあえず僕は服をとってくる。君は店の入り口じゃなくて、隅の方で着替えていてくれ」
「? うん、分かったよおにーさん」


 疑うこともなく、彼女は店の隅へと移動してくれる。幼さ故だろうか、聞き分けの良い妖怪で安心した。
 このまま居ると再び彼女の着替えが始まるので、僕は急いで服を探しに店の奥へと向かおうと足を急がせた。
 雨の中で傘も差さずにやって来た、見た目は女性、中身はまるで子供の迷い鳥。
 分からないことが多すぎるので、彼女からは追々話を聞いていくことにしよう。


















 本のページを捲り、書かれている内容を目に収め、脳内で咀嚼する。読書とは、食事をしていることとほぼ同じだ。
 人間という生き物は、同じ事を延々と繰り返すことを良しとしない。ずっと同じ物を食べていると味を覚えて飽きが来るように、本も同じ物を読んでいると内容を覚えて飽きが生じてくる。
 そのために本という物は、新たな知識、新たなエッセンスを含む「同じ味ではない内容」をどんどんと生み出し、作られていく。そして人間は違う味の本を読み、知識を深め愉しむ。またある時は、遙か昔に読んだ本を見て、再び味を確かめ愉しんでいる。
 これも食事と同じだ。毎日同じ物を食べると飽きが来るが、日にちを跨ぐと飽きは中々やってこない。読書とは行為の繰り返しだが、咀嚼する内容が多彩故に、食事のように飽きることがないのである。
 しかし、飽きることがないこの行為も、行う当事者の気が起きなければ、即刻意味のない物へと成り下がる。咀嚼する事をしなければ、文に目を通す作業となり、眼に収めようとしなければ、紙束を見るだけの作業になる。
 そして今、僕の行っている読書も、自身の気が起こらぬ故に無意味な物へと化していた。


「普段なら、こんなことにはならないんだが……」


 いつもの椅子に座る僕は、小さくため息を吐いた。駄目だ、本の内容が全く頭に入ってこないのである。
 気分を少しでも変えるため、首を左右に傾ける。小気味の言い骨の音がするがしっくりとは来ず、気分が一新されるわけでもない。
 本を閉じ、カウンターに詰まれた本の山へ戻す。その後、軽く伸びをしてみるが、


「ふぅ……これも駄目か」


 気持ちは良いのだが、気分が晴れるわけではなかった。


「全く。外は、こんなにも晴れているんだがね」


 僕は一人呟きつつ、窓を見る。
 窓からは、燦々と太陽の日差しが差し込み、店内を明るく照らし出していた。此処まれに見る晴天だ。春前のカラッとした空気に拍車を掛ける陽気である。

 ――そう。晴れてしまっているのだ。それも気持ちが良いほどに。



















「あ、そうか! 香霖もおくうもあいつのこと知らないのか。地底異変のちょっと前のことだったし、私は話していなかったもんな」


 魔理沙が何か理解したようで、一人納得した表情を見せる。一体何をどう理解したというのだろうか。


「魔理沙、あいつとは誰なんだい?」
「あいつって名前の人がいるの?」


 僕が聞き返し、空が見当違いな問いを魔理沙へ投げかける。


「あ、悪い。話してる途中だったな」


 それを受けた魔理沙は、人差し指を力強くこちらに向け、ビシッとポーズを決める。
 そして「今から重要なことを言うぜ」とでも言いそうな、してやったりな笑みを浮かべた。


















「やぁ霊夢。お邪魔させて貰うよ」
「お参りなら、賽銭箱はそっちよ?」
「僕がお参りしに来たと思うかい?」
「いや、全然。来た人に投げつける定型文みたいなものよ」


 飄々とした風に話すこの少女の名は、博麗霊夢。博麗神社に住んでいる巫女であり、異変解決を担う幻想郷における最重要人物。
 彼女が居るからこそ幻想郷はバランスが保たれており、存在することが出来ているのだが、本人はそこまで気にして居ない、むしろ無関心のようだ。
 そんな少し冷めた性格故か、彼女の周りには人、妖怪が自然と集まってくる。おそらく幻想郷に置いて、一番認知度が高い人間といえば彼女であろう。


「あ、巫女だ。こんにちは」


 霊夢に対し、小さく手を振る空。


「あらどうも……って、アンタもいい加減、巫女の区別くらい覚えなさいよ。おめでたい色の方が私で、どこか脇役っぽいのが早苗でしょ」
「うーん、色じゃどっちがどっちか分からないよ」
「はぁ、じゃあいいわ。で、霖之助さん。鴉と一緒に来るとは一体どういう風の吹き回し?」


 お手上げと言わんばかりに霊夢はため息を吐くと、話を切り替えるように僕に話しかけてきた。妖怪でも人間でも、対応の仕方は変わらない。実に彼女らしい。
















「あれ、さとり様?」
「あらお燐、どうしたの?」
「おくうと話していたようですけれど、何やら嬉しそうですね?」
「ペットの成長を目の当たりにすると、飼い主はやっぱり嬉しくなるものなのよ」
「成長? あ、またおくうの胸が大きくなったんですか? あいつ、一体どこまで大きくなるんだか……」
「ああ、そうじゃないのよ。……そうね、お燐はおくうの親友ですし、最初に教えてあげるわね」
「し、親友? そ、そんにゃ、いや、嬉しいですけどぉ……って、何をですか?」
「別に他言しても良いのだけれど、実はあの子――」












    これは、一人の店主と一人の妖怪が、とある景色を求める物語。












「おにーさんおにーさん! これって何? 何なの?」


「私はオススメに囚われない自由な人間なんでな。その言葉は受け付けないぜ?」


「別に私が言わなきゃいけない、なんてことないわよ。居間で寛いでると思うから、勝手に話しかけちゃって頂戴」


「心を見透かされているかのよう、ですか?」


「そりゃあ良かったです。あー、あたいも行けば良かったかなぁ」


「ふふん、最高の暇つぶしにしようじゃないの」





「――では、始めるとしようか」







    東方ProjectFanBook『太陽と霖が望む空』/A6サイズ 120p 600円
    コミックマーケット83・2日目 東地区“チ”ブロック-26aにて頒布予定



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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委託!委託はありますか!?
空霖は大好物なんですがイベにはいけないんですorz
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