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半人でも、半霊でも・リメイク

今回は一週間ではなく、ちょっとした小休止。
今日が丁度私の誕生日なのと、そろそろ東方の二次創作を始めて四年目に入るので、一番最初に作った妖霖をリメイクしてみました。

昔の話を見ると、設定をあまり見ずに勢いで作っていたんだなぁとほっこりしますね。なんとか話が纏まるように修正したんですが果たして。
話のベースを変えずに長さとかオチが昔のままになっていますが、それもまた一興。





霖之助 妖夢

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 最初の感想は「冷たくて酷い人」だった。
 人魂灯を落としてしまったのは自分の責任だけれども、ただそれを拾った人にあそこまでこき使われるとは思いもしなかった。
 彼は人生の勉強代だと言っていたが、それでも初対面の人間に対してする事では無いと思う。

 二回目の感想は「真面目な人」だった。
 店を後にして何日か経ったある日、幽々子様からのお使いでまた店へ立ち寄ったとき、彼の道具への愛情は本物なのだと痛感した。
 ひょんなことで道具の話になった際、お店の道具の話をしている時の彼が、前の感想とは正反対で……なんと言うか、とても好感を得たのである。

 三回目の感想は「本当は優しい人」だった。
 幽々子様のお使いとは関係なしに店に行ったとき、魔理沙がボロボロの姿でやって来た。
 なんでも実験に失敗したらしく、それを聞いた彼は、彼女を叱りながらも傷の手当てや代わりの服を繕っていた。
 それをとても嬉しそうに見ている彼女を見て、どうしてだか、心にしこりを感じたのである。その疑問は、すぐに分かることになったのだけれども。

 四回目の感想は「素敵な人」だった。
 気がつくと、店に通うのがいつも通りになっていた私は、彼に惹かれているのだと分かった。
 無意識に彼はどうしているのかと思ったり、店に居るとき彼が気になってしまったり、一度気づくと止まらない。
 ああ、これはそういうことなんだなと思うのは、そう遅くはなかったのである。


 そして、今は。









「……うむ、妖夢?」
「へ? あっ、な、何ですか?」


 自分の名前を呼ばれ、私は反射的に顔を上げて返事をした。目の前にはちょっと不機嫌そうな店主さん。
 ……ああ、しまった。どうやら彼の話を聞いている途中で惚けてしてしまったみたいだ。
 私の様子を見て、店主さんが小さくため息を吐く。


「どうやら僕の話は、完璧に聞き流されていたみたいだね」
「あぅ……す、すみません」
「まぁ、意識が戻ってきたのなら良い、もう一度聞くとしようか。前から疑問を感じていたんだが、君の半霊はどういう仕組みになっているんだい?」
「あ、えっと、それはですね……」


 少し考えて、私はその問いに適う解答を話し出した。

 日数を重ねても、何一つ変わることのないお店、香霖堂。私は今、仕事を終えてその店に訪れていた。
 今ではこうして店に何度も通うようになっている私だが、残念な事にお金を持ち合わせていない。白玉楼での仕事は住み込みという体のため、賃金なんてものは無いからだ。
 そのため私はお店へ趣くと、店主さんとこのようにして雑談をしたり、薀蓄を聞いたりしている。
 店主さん曰く、「魔理沙たちは話を聞いてくれないから、君のような人は願ったり叶ったりだ」ということらしい。そう聞くと、少し誇らく思えるから不思議だ。


「ほぅ。この半霊も君と同じ精神、感情を持っている。ということなのか」
「はい、感覚は共有しているのですが、全く同じ動きをするわけではないんです。私が二人いると言っても間違いじゃないかも知れません」


 魂魄家の家系には、必ず半霊という存在が関わってくる。半人半霊、それは魂魄家の血筋に寄るものだからだ。
 この半霊は自分の一部ではあるのだけれど、思考は半人、肉体を持つ方とは違うのである。
 しかし、思考が違うからといって半霊だけが突拍子な動きをするわけでもない。
 半霊は、言ってしまえばもう一人の自分。いつも共に同じ事を学び、動き、行動している訳であるから、考えることや行動パターンは殆ど一緒なのだ。


「人間と幽霊の両方を極めれば一人前だ、と幽々子様が仰っていましたね」
「……そうやって意見を鵜呑みしている所が、君が半人前たる由縁なんだろうね」
「うっ、確かに、そうかもしれません……」


 彼に正しくな事を言われ、私は堪らず目を伏せた。
 時折こうしてチクリと来るコメントが返って来て悄げるのだが、店主さんは別に間違った事は言っていない。店主さんは気付いていないようだが、時には私の道標となるような事を言ってくれる。
 店主さんと話すのは、とても楽しい。他の人と他愛のない話をするのと同じ事をしている筈なのに、この瞬間がとても幸せなのだ。不思議で堪らない。
 ……いや、すでにその謎の正体が何なのかは、分かりきっているのだけれども。


「そう気を落とす物ではないよ。君は半人前なんだ、そういう駄目な部分が無いなんておかしいだろう?」
「それ慰めてないですよね? 慰めようともしないで思いっきり貶してますよね?」
「ま、冗談だ。ふむ、半人半霊という種族について少し知識が深まった。感謝するよ、妖夢」
「!」


 そう言って彼が珍しく笑う。その笑顔は……反則だ。
 どうして仏頂面な人間が不意に見せる笑顔というのは、こうも惹かれてしまうのか……店主さん曰く、レア物だからとかなんだろうか。
 耳と顔に熱が灯る感覚がしたため、私はなんとか気付かれまいと気持ちを押し込めようとしたが、


 ふょんっ、と。


「ん?」
「あっ!?」


 私の半霊が、抑えきれなくなったのか、彼へと飛びついたのだ。
 いや、待って欲しい。何故ここぞとばかりに私の意思とは全く違う行動をしてくれてるんですかもう一人の私。
 確かに店主さんの笑顔にくらっと来たけれど、そんな飛びつこうとなんて私は思っていなかった。宙に浮ける半霊だからこそ、こんな大胆な事をしようと決意してしまったか、やけに時期尚早なんじゃないですかもう一人の私!
 そんな焦りきった私の心などつゆ知らず、半霊もとい私二号は、彼の周りをクルクルと擦り寄るように飛び回る。


「これは……」
「あ、うぅ……」


 驚きつつも半霊の様子を見る店主さんに、私は何と言えばいいのか分からず戸惑っていた。
 何より、先程この半霊の説明を終えたばかりなのだ。『私が二人いると言っても間違いじゃない』という事、そう、考えることは大体同じだと言うことを。
 その状態でこの半霊の喜びようなわけだから……これはもうバレてしまったんじゃないかとも思えてしまう。
 一体どんな言葉が返ってくるのか、と私がドキドキしていると、


「さっきの半人前の言葉を聞いて怒らせてしまったかな。冗談だったんだが……少し軽はずみだったか」
「……へ?」
「違ったのかい?」
「あー……あぁ……」


 何とも、店主さんらしい答えが返ってきた。
 ああ、そうでした。この人、そう言う人でした。
 素で訊ねてくる店主さんを見て安心したが、反面、私はちょっとガッカリもする。半霊がここまで懐いていて、それにさっきの話を聞いていたのだから、ある意味察して欲しいものでもある。
 まぁ、そんな彼だから惹かれてしまったのかもしれないと思うと、そんな自分に笑えてしまう。
 ……それならば、


「ええ、おそらくそうですよ。実は私も相応に傷付いていたんです。ちょっとした言葉でも、結構クるものがあるんですよ……」


 少し怒った様子を見せながら、傷付いていたのだとも見せるように、口調を弱くして私は話す。


「ぬ……今回ばかりは言い過ぎた、という事なの、か? そうだとしたら、すまなかったね」


 それを見た店主さんが、半霊の件もあったためか、疑問に思いながらも謝ってくれた。
 少し悪い気もするけれど、ちょっとくらいならこういうことも平気……だと思う。
 それと、これから私のする事も。


「そうですね……一つだけ、私のお願いを聞いてくださったらいいですよ。私もそれで良いですよね?」


 私の問いかけに、店主さんの周りを飛んでいた半霊の私が、頷き肯定するかのように上下に動いた。私と同じ事を思っていたようで何よりだ。


「……ん? 待ってくれ。急に君が、君らが強気になっている気がするんだが」
「嫌ですねぇ、気のせいですよ。それで、如何ですか、店主さん?」
「……ああ、分かった。今回は飲むとしよう。して、そのお願いとは何なんだい?」


 まあ、仕方ないな。とでも言うかのように、店主さんが息を吐く。妥協してくれたのだろう。
 良かった。これで心置きなく、言いたいことが言える。


「それはですね……」


 私は一息吐いて、店主さんへ願いをぶつける。
 もう一人の私のアピールに、全く気付いてくれないのなら。
 話をするためだけにわざわざここへ訪れている私の理由にも、全く気付いてくれないのなら。

 それならば、分かって貰えるように、願いを聞いて貰えばいいのだ。
 半人でも、半霊でも。店主さんを思う気持ちは、同じなのだから。


「私を、私達を、異性として見て頂けますか?」


 私の半人前の日々は、こうして彼と一緒に過ぎていく。

 その場所は香霖堂。彼の名前は森近霖之助。
 五回目の感想は――「私の好きな人」だ。


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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