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ウサミミマンデー

きっと永遠亭は置き薬を採用してる。
そして霖之助さんはそれに思いっきりあやかってる。そんな鈴霖。

鈴仙さんの性格は、二次創作でころころ変わって面白いです。
個人的に軍人鈴仙さんがとても好き。この話では全然違いますけども!



出てくる方々

霖之助 鈴仙



----------------------


「ええっと、今回は合計でこれくらいになりますね」
「……結構な額になったね」


目の前に提示されたとある明細に、霖之助は顔を顰めた。
今週は、結構な量を使ってしまったという自覚はあった。しかし、実際に金額を目にするとなかなか精神にクるものがある。
そんな霖之助を見て、カウンター越しに明細を提示していた少女・鈴仙は、「そうですねぇ」と苦笑いを浮かべた。


「毎度毎度思うんですが、これほどの量の薬を使うなんて、店主さんは一体何をされているんですか?
 2週間で普通のお宅3つ分以上の消費量なんて、尋常じゃないんですけれど……」
「いや、まぁ、ね」


霖之助が目にしていた物は、置き薬の使用請求書だ。そこには2週間で使ったとは思えないほどの薬の数と金額が記されている。
永遠亭の薬は結構リーズナブルであるのだが、それでも目を疑うほどの金額であることには間違いない。

少し前に永遠亭の存在が公にされてから、「薬屋」という言葉は人里へ一気に広まっていった。
元々人里に「薬を直に売る」という概念が無いに等しいものだったので、永遠亭の存在は人々にとって非常にありがたいものだったのだ。
そのおかげか、永遠亭の薬はみるみる人々に浸透していき、永遠亭は、今では無くてはならないものになった。
しかし診療所である永遠亭があるのは、迷いの竹林の奥。案内役の兎がいるらしいが、そうそう簡単に行けるものではない。急患が行くのは無理があるだろう。
そこで永遠亭の主の八意永琳は、人里に薬屋を作り、助手の鈴仙を遣わせて商売を始めたのである。

その商売の内のひとつに、置き薬という商法があった。
販売員が薬の入った箱、「配置箱(またの名を預箱ともいう)」を消費者の家へと訪問して配置し、次回の訪問時に使用された薬の分だけ代金を精算、集金。
その薬箱が後に「置き薬」と言われ、外の世界では配置販売業と言われる業態となったのだという。気軽に診療所へ行くことが出来ない幻想郷においては、実に上手い商売だ。

霖之助にとってこの置き薬というシステムは、実にありがたいものとなっていた。
販売員である鈴仙が薬の精算・補充に訪れるのは、毎月・第2第4の月曜日。薬を消費したとしても、2週間待てば人里へ行く必要も無く薬が補充されるのだ。
香霖堂の動かない店主の彼にとって、これほどまでに利用しやすい物はない。まさに打って付けの代物だったのである。
……まぁその結果、今この金額となっているのだが。


「あっ、もしかして、薬を過剰摂取されているわけじゃないですよね?
 医薬部外品のドリンク剤や、服用する錠剤も減ってありますし……」
「いや、そういうわけじゃないんだ。薬を使うのは、僕だけではないからね」
「……へ?」


まさか、と言うような表情で問いかけてきた鈴仙の頭上に、疑問符が見えた気がした。
そういえば、彼女には説明をしていなかったか、と霖之助は思い出す。


「ああ、話していなかったね。もう一度言うが、此処の薬の使う相手は僕だけでは無いんだ。
 風邪をひいたから薬を寄越せとやってくる巫女と魔法使いや、巫女に喧嘩を売ってボロボロになった氷精など、客でもない訪問者が多くてね」


言いながら霖之助は、来訪してくる少女たちを思い出す。
あの子たちは、ここを診療所か何かと勘違いしているのではないだろうか。無償で薬を貰えるのを良いことに、入り浸られているような気もする。
そもそもの話、薬を渡さなければいいのだが、あのまま放置するというのも気が引けてしまう。……何とも難儀な性格をしていると、霖之助は自身の性格に呆れつつため息を吐いた。

そんな霖之助に対し鈴仙は、「そうだったんですか」と感心しているようだった。


「つまり店主さんは、怪我した子に薬を使ってあげているから薬の消費量が多かったんですか。お優しいんですね」
「いいや、僕が押し切られて薬を奪われているだけだよ。何とも情けない話だ」
「……そう言うところが優しいんですよ」
「?」


鈴仙が最後に零した言葉は、霖之助には聞こえなかった。


「いえ、なんでもないですよ。
 うーん、薬の消費量が多い訳の半分はわかりましたが、まだ疑問があるんですよね」
「何かな?」
「金額の半分は風邪薬や包帯などなのですが、残り半分は眠気覚ましなどのドリンク剤や錠剤に因るものになってます。
 ここにやってくるその子たちは、そんなドリンク剤なんて飲みませんよね。他にも来ている方がいるんですか?」
「……」
「……店主さん?」


鈴仙の単純な問いかけに、霖之助は露骨に目を反らしてしまった。
しまった、と霖之助は思う。今目を反らさなければ、まだ何か弁解が出来ただろうに。
不審な行動をとった霖之助を見て、鈴仙が目を側める。……空気がだんだんとよろしくない方向へ変わってきている気がした。


「あー、その、僕は種族柄からか、食事を採らなくてもいい体質なんだ」
「ああ、前に聞きましたね。人と違って体の栄養はどう賄っているのか気になるところです」
「しかし、睡眠は取らなくてはいけないようでね。夜に本を読んでいると、ときたまどうも睡魔が襲ってくる訳なんだ」
「……つまり店主さんは、夜更かしをするために眠気覚ましのドリンク剤などを服用していた……と?」
「……」


再び、目を反らす。……もう弁解の余地もない。
霖之助が置き薬で主に使用していたのは、睡魔打破などと記されているドリンク剤や錠剤だったのだ。
読書の途中で寝てしまうと、朝目覚めた際にどこまで読んでどこまで理解していたのか分からないことが多々ある。これは非常に勿体ない事だと霖之助は感じていた。
そこで目を付けたのが、置き薬に入っていたドリンク剤と錠剤。用は眠気覚ましの薬だったのである。


「なにしてるんですか!?
 眠気覚ましはそんなために使う物じゃないですっ。そんなことしてたら体調を崩してしまいますよ!」


バンッと鈴仙が力強くカウンターを叩く。
霖之助が怒られるのも無理はない。霖之助が2週間で消費したドリンク剤と錠剤は、普段服用する患者の数倍の量に達していたからだ。
これは完全に規定の量を超過しすぎている。体に害が出ないのが不思議なくらいだった。


「いや、確かに使い方には呆れてしまう物があるかもしれない。けれども、どう使おうと消費者の自由じゃないのかい?」
「ここぞとばかりにいい顔で開き直らないで下さい! 薬剤の投与しすぎで病気になるなんて本末転倒すぎます!」
「僕は病気には罹りにくいから平気だよ。現に今もぴんぴんとしているじゃないか」
「そう言う問題じゃないですよ!
 ああもう分かりました、分からず屋な店主さんのために、これからは眠気覚ましの薬品を今までの1/3にします!」
「なっ!? いや待ってくれ鈴仙、それは販売員としてどうなんだ!?」


用意していたドリンク剤と錠剤を鞄の中へせっせと仕舞っていく鈴仙を見て、霖之助は抗議の声を出した。
鈴仙は気にせず薬を仕舞いながら、霖之助の方を見る。


「販売員であり、医者の卵でもあります!
 患者さんの健康状態を見て薬の量を変えるのも仕事の内!
 まさかとは思いますが、店主さん最近一睡もしていない訳じゃないですよね?」
「……そんなことはないさ、きちんと休憩は取っているよ」
「……その休憩とは?」
「椅子に座って、ゆったりと本を読んでいる」
「休憩でも何でもないですよそれぇ!」


霖之助の物言いに、鈴仙は頭を抱えた。
彼の言い訳はもう滅茶苦茶だ。いつもならもっとマシな言い訳を言いそうなのだが、今日の彼はどこかおかしい。
もしかすると、寝不足で……


「ダメですよ店主さん、睡眠は生き物にとって非常に大切なものなんです。仮眠でもいいので今すぐにでも寝て下さい!」
「しかしだね」
「……もう、仕方ないなぁ」
「?」
「店主さん、先程から目を反らしすぎですよ。言い訳をするにせよ、きちんと目を見て話して頂けませんか?」
「む、そうか、すまない……っ!?」


鈴仙から頼まれ、目を見て話をするべく彼女と向き合った途端、霖之助は妙な違和感を感じた。
急に視界がぼやけ瞼が重くなり、脱力感が一気に体を巡る。
先程までは保っていた平衡感覚がどんどんと無くなり、思わずカウンターに肘をつく。
この感覚は、まさか。


「……だから店主さんは優しいんですよ。私の能力、知ってますよね?」


薄れゆく意識の中で霖之助が見た鈴仙の瞳は、紅く紅く爛々としていた。
彼女の能力は、「狂気を操る程度の能力」。狂気を操るというのは能力の一部であり、実際はあらゆる波を弄ることが出来る能力である。
あらゆる波。それは物質、生き物、光、そして空間。全ては波で出来ていて、彼女はそれを操ることが出来るのだ。
狂気を操ると言うことは、感情や思考を操るということ。つまり、「眠気の感情を最大限に引き出すこと」など、彼女にとっては容易い。
鈴仙は、霖之助の眠気を操ったのだ。


「ぐ……それは、卑怯じゃない、か?」
「店主さんは話を聞いてくれませんから、こうしないといけないんです。
 それと、薬の悪い使い方をした罰でもあります。反省して下さいっ」
「そうかい、善処する、よ……」


その言葉を最後に霖之助は、ゆっくりとカウンターへ伏せるように崩れ、眠りに落ちた。
鈴仙は椅子を降り、カウンター越しの霖之助の方へと移動。霖之助が本当に寝たのかを確認する。
均一の取れたゆったりとした呼吸、力の抜けた肢体。どうやら完全に睡眠状態になったようだ。


「……やっぱり、店主さんの言動に何か引っかかると思ったら、寝ていない影響でハイになってたのね」


鈴仙は霖之助の様子を思い出す。
口調は変わらなかったが、ところどころ歯切れが悪く、感情がよく前に出ていると感じていた。
鈴仙の問いかけに対して露骨に目を反らしてしまうなど、霖之助らしくもない言動が多かった。
それもこれも、全て寝不足から起こる集中力の低下から来ているものだろう。
寝不足が及ぼす影響というのは、こんな生易しいものだけではない。早急に対処をして正解だっただろう、と鈴仙は胸を撫で下ろした。


「さてと、ここで寝かせるわけにも行かないよね。よいしょっと」


そう言うと鈴仙は、霖之助の体をお姫様だっこの形で軽々と持ち上げた。
そしてキョロキョロと辺りを見回し、どこか休ませるところはないかと探すものの、店内で霖之助が横になって休めるところは見当たらない。
となると、残るは店の奥、霖之助の居住スペースしかないだろうか。……それは少し緊張する。


「で、でも、仕方ないわよね。
 私が付きっきりで休ませないと、また店主さん起きて無理しちゃうかもしれないし……」


ぶんぶんと首を振り、鈴仙は自分に言い聞かせる。
そうだ、仕方がないのだ。これは言わば治療の一環のようなもの。何もおかしくはない。そう、おかしくない。


「私が、付きっきりで」


再び、口にする。言葉の意味を確かめるように、噛み締めるように。
ほのかに心拍数が上がってきている気もするが、これは緊張しているだけ。そういうことにしておこう。

ちらと、鈴仙は抱えている霖之助を見た。
そこには普段の仏頂面は無く、端整な顔立ちで静かに眠っている彼。


「……そうだ、寝床を用意しないと。それと、店主さんの服を寝間着に着替えさせてあげなきゃ。
 ちょうど眠っているし、これを機に体を調べても大丈夫よね。半人半妖の男性の体って気になるし。
 ああ、ついでに採血して薬の症状が出ていないか診断も行えばいいわ、一石二鳥。うん、これは治療と調査のため。研究と、検査のため……」


ぶつぶつと、何やら不穏なことを呪文のように呟く。
そのまま鈴仙は、霖之助を抱き抱えながら、店の奥へゆっくりと歩き始める。
そんな彼女の表情は、


「ふへへ、付きっきり、二人っきり……」


――どことなく、狂喜と、狂気に満ち溢れている気がした。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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