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頼み事にはご用心

mayoさんがお誕生日だったとお聞きしたので、お燐霖してみました。
猫娘のかわいさってどうなってるんでしょうかね。全くもう\ニャーン/
何はともあれ、お誕生日おめでとうございますヒャッホゥ!


出てくる方々

森近霖之助 火焔猫燐



--------------------


「生芻(せいすう)一束、という言葉が外の世界にはあってね。
 簡単に言えば、死人への贈り物のことを言うんだ」
「へぇ、そうなんだ」
「ここに居る仏たちは、存在を忘れ去られたか、不意にここへと流れてしまった人々。
 だから僕は、その知られずに亡くなった仏たちに、せめて弔いを贈りたいと思っているのさ」
「ふんふん、お兄さんはイイヒトなんだね。あたい感動しちゃいそう」
「そうか、それならば」
「でも、さっきも言ったけど、これはあたいが拾った死体だからお兄さんには渡せないなぁ」
「……そこを、何とか頼みたいんだ」


霖之助は目の前の少女、火焔猫燐に頭を下げた。
当のお燐は「そう言われてもなぁ」と苦笑いを浮かべている。

世界の忘れ去られたモノたちが集う土地、無縁塚。
危険と言われ近寄る者はほとんど居ないと言われているその場所で、珍しいことに二つの影が動いていた。
一方は、魔法の森で香霖堂を営む森近霖之助。もう一方は、最近地底から頻繁に地上に出るようになった火焔猫燐。
霖之助は流れ着いた道具の回収かつ死体の埋葬。お燐は流れ着いた死体の回収をしていた。


「というか、お兄さんやけに食いついてくるね。
 そんなにあたいの死体が欲しい理由ってなんなのさ?」
「それは……」


お燐に問われ、霖之助は口籠もる。
お燐が所有権を主張している、猫車に積まれた数多くの死体の内の一体が身につけているペンダントの石。
それは霖之助の能力が伝えるに「アェタイト」というもので、鷲の首や胃から極稀に発見される魔力のこもった石。つまりはレアアイテムだった。
道具屋を営む以上、どうも希少な道具には惹かれてしまう。今回の道具は霖之助にとって、是非とも手に入れておきたい物だったのである。

だが、もしそれをお燐に伝えたとなると、霖之助にとって非常に分が悪くなる。
自ら言い出したこの交渉を、自身の手で更に悪化させるなど言語道断。だから霖之助は口籠もらざるを得なくなったのだ。
そして実のところ、この交渉は一度断られていた。なので霖之助は外の世界の言葉を持ち出し理由をこじつけることで、お燐を説得しようとしていたのである。
もしもペンダントが目当てだと知られたら、お燐は機嫌を悪くしてしまうに違いない。そうなれば交渉云々の問題では無くなってしまうだろう。

霖之助が悶々と言い訳を考えていると、お燐が呆れた風にため息を吐いた。


「まぁ、きっと死体の着てる服とかアクセサリが特別なものだからー、とかなんでしょ?」
「! いや、そんなやましいことでは無いよ」
「いやいや、反応でバレバレだよお兄さん。
 それに、そうでもないとお兄さんが死体を欲しがるなんてこと絶対に無いからね」
「……怒っていないのかい?」
「? なんで?
 あたいはそんな事聞く鈍感お兄さんに怒っちゃいそうだよ」


「全く、これだからお兄さんはー」とお燐が肩を竦める。
どうやら彼女の想定内の出来事だったようだ。事態が悪くならずに済んだようで、霖之助は心の中でホッと一息ついた。
彼女の機嫌が損なわれていないのであるならば、それはそれで違う交渉へとシフト出来るからである。


「いや、それならば良かった。
 ならば、要求する対象を変えて君に頼みたい。良かったら、その死体に付いているペンダントを……」
「駄目だね」
「なっ!?」


即答されてしまい、思わず声を出してしまった。
死体だから渡すのを躊躇っていたと霖之助は思っていたのだが、どうやらそれは思い違いだったようだ。
だとすると、何故お燐は断ったのか。霖之助がそれを気にするのは当然のことだった。


「理由を……聞いて良いかい?」
「理由? だって、そんなレアなものを付けた死体とか素敵じゃないのさ。
 是非とも、地霊殿に持ち帰って私のコレクションにしたいくらいだよ」
「……なるほど」


話を聞き、霖之助は「確かに」と納得するしかなかった。お燐の能力を思い出したからである。
彼女の能力は「死体を持ち去る程度の能力」。そう、持ち去った死体の用途は問われていないのだ。
死体を地獄の燃料に使っているという話を霖之助は聞いたことがあったため、お燐が無縁塚の死体をそれにしか使わないと思い込んでいた。
しかし、それは違った。彼女はネクロフィリアであるということが今判明したのである。

つまり今回のこの交渉は、極めて困難なものになったということだ。
……これはあまりにも運が悪かった。さすがに諦めた方がいいのかもしれない。


「んー、でもどうしようかなー?」
「?」


と、霖之助が半ば諦め掛けていると、急にお燐が「只今、悩んでます」と言わんばかりのトーンで話しかけてきた。
声は悩んでいる様に聞こえるが、表情はニンマリと笑みを浮かべている。……俗に言う「良い笑顔」だった。


「いやー、死体を欲しがってると思ってたけど、まさかペンダントだけだとはねー。
 ペンダントくらいなら、渡してもいいんだけどなー。迷っちゃうなー」


先程言っていたコレクション云々の事など覚えていないかのように、お燐が霖之助へと話しかける。それはそれは盛大な棒読みで。
……もしかすると、こちらの足下を見るために猫を被っていたのだろうか。まさに、猫だけに。


「うーん、どうしよっか、お兄さん?」
「…………」


にへへ、とお燐が楽しそうに笑う。これはもう、こちらに選択肢はないだろう。
こちらから持ちかけた交渉。一度理由をこじつけ説得しようと目論んでいたことへの赦免。そして、向こうから持ちかけられた提案。
つまり、今ペースは完全に彼女に掴まれていると言うことだ。


「……猫缶十個かい?」
「さすがお兄さん、物わかりが良くて助かるねぇ。
 でも、今回はちょっと変化球な要求にしよっかな」


そう言うなり、お燐は霖之助の正面に立ち、じっと霖之助を見る。
お燐の身長は霖之助よりも頭一つ分小さいので、自然と上目遣いになっていた。
そして、


「んっ」


お燐が目を閉じ、霖之助に何かねだるように背伸びをしてきた。


「……なんだい、これは?」
「え? お兄さんなら分かるでしょ。ほら、んー」


霖之助の問いに答えず、お燐が再び急かすように背伸びをする。
……これは、そういうことなのだろうか。いや、だとしても。


「お燐、そういった要求は、些か不純なんじゃないかい?」
「そう? あたいはさとり様によくして貰ってるから不純だとは思わないね。
 それにお兄さんは、するだけでお兄さんの欲しいアイテムが手に入るんだよ? 物を減らすより、とっても合理的だと思うんだけどなぁ」
「……そう、なのか?」


背伸びを止めて話すお燐の言葉に、段々と霖之助の常識が揺らいできた。

確かに彼女は、地底に住んでいる古明地さとりのペットだ。
もしかするとお燐は、こういった事を一種のコミュニケーションとしているのかもしれない。
実際、ペットへの愛情表現に今、お燐が要求しているであろう事をする飼い主は少なくないと聞く。
だとすると、これは別に不純でもなんでもなく、お燐がただコミュニケーションを望んでいるだけだとも考えられる。
彼女がコミュニケーションを求めてくれているということは、それなりには森近霖之助という半妖を認めてくれているのだろう。

ならばそれに応えないのは、お燐に対して失礼か。


「で、どうするのお兄さん?」
「……ああ、分かった。それで交渉は成立でいいんだね?」
「もっちろん。それじゃ、んっ」


再びお燐が目を瞑り、嬉しそうに背伸びをする。

これはもう、パッとやって事を運んでしまった方が良いだろう。
そう思った霖之助は一息吐くと、背伸びをするお燐の頬に手を添え。

ちょんと、彼女の唇に小さくキスをした。


「にゃっ!?」
「!?」


途端、お燐が驚いたようにバッと霖之助から距離をとった。
そんなお燐の予想外の反応に、霖之助も驚く。
そのお燐の反応はまるで、されるとは思っていなかったようなリアクションのようで。

すると、驚いた霖之助に気づいたお燐が、少し照れながらばつが悪そうに頬を掻いた。


「あ、いや、あはは、お兄さん、意外とアグレッシブなんだね。
 あたいはてっきり、おでこにしてくれるかなーって思ってたんだけど……」
「なっ!? それならそうと……」
「あ、そうだ、渡す物渡さないとね、うん。
 んしょっと……はいお兄さん、これが欲しかったんでしょ?」


かき消すようにお燐は声を出すと、いそいそと猫車に積まれた死体を漁り出す。
そして霖之助が目を付けていた死体を見つけ、ペンダントを綺麗に外し、霖之助へと手渡した。
確かに、霖之助が欲しかったのはこのペンダントで間違いない、のだが。


「あ、ああ。ありがとう、お燐」
「えへへ、まさか唇とは思ってなかったから驚いちゃった。
 いやぁ、お兄さんがそんなにあたいの事を思ってるなんてねぇ」
「! 待ってくれ、そういうわけじゃ」
「違うの? お兄さん、あたいのこと嫌い?」
「……その質問は、あまりにも極端すぎると思うんだが」
「じー」


霖之助の言葉など聞こえていないかのように、お燐が目を潤ませながら霖之助を見る。
ああ、もうこれは、答えは決められているような物ではないか。


「……嫌いじゃないよ」
「やったっ、じゃあこうしても問題ないよね」


しおらしかった態度から一転、お燐が嬉しそうに霖之助の腕にしがみつく。
霖之助は、自分の考えと行動に後悔しつつ、大きなため息を吐いた。


「……やってしまった」
「お兄さんが変に深読みするのがいけなかったんじゃない? あたいは額にしてくれればそれで良かったもん」
「否定はしないよ。時を遡れるのなら、今すぐ戻りたいくらいだ」
「ま、あたいにとっては棚ぼただったからいいけど。
 さてと、欲しかったもの以上のモノ貰ったし、あたいも精一杯お兄さんにお返ししないと、ね?」
「お手柔らかに頼むよ……はぁ」


「ごろごろー」とじゃれるように、お燐が霖之助の腕に擦り付く。
霖之助の小さなため息はお燐には届かず、ただ宙を舞い無縁塚に溶けゆくだけになりそうだった。


――額へのキスは、祝福や友情を意味するという。
そして、唇へのキスが何を意味するかは……わざわざ明言するまでもないだろう。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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