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冬と温度は使いよう。

あけましておめでとうおひさしぶりです。

うん、年明け初更新からはた霖なんだ。
あまりにも久しぶりだったので、なんだか面白い風味になりました。

まぁ、それでいいよね! はた霖ウフフ!



登場する方々

霖之助 はたて 諸々
--------------------------------------------


「……しまったな」


真冬真っ只中のある日、香霖堂のストーブの前で霖之助は戦慄した。この時が来るとは思ってもいなかったからだ。
何故こうなってしまったのかは、考えればすぐに結論は出る。だが、今はそれどころではない。


「さて、どうするかな……」
「ん、なになに? どうしたのお兄さん?」


霖之助が悩んでいると、カウンターの椅子に腰掛け、こちらの様子を伺っていたはたてが傍に寄ってきた。
ひょいと霖之助の後ろからストーブを観察してみているが、何が起きたかは理解できていないみたいである。

首を傾げているはたてに、霖之助が説明する。


「あぁ、ストーブの燃料が尽きてしまったんだよ。いつもは冬を楽に越せるほどあるんだがね」
「あ、なるほど。部屋の温度が下がったかなって思ったけどそういうことだったのね」


何食わぬ顔ではたてが言う。
それはそうだろう。はたては鴉天狗、端的に言えば妖怪なので、寒さ云々ではビクともしないのだ。
彼女曰く限度はあるらしいが、それでも幻想郷の寒さ位はまぁ平気だと言っていた。実に羨ましい。


「君にとってはなんとも無いかもしれないが、僕にとっては死活問題だよ。これでも困り果ててるんだ」


空焚きにならないよう、ストーブの火を消しながら霖之助が言う。
霖之助は半人半妖で半分は妖怪だが、寒さや暑さは人間と同じように感じてしまう。

……不便などとは思わないが、少し理不尽な気もする。


「あれ、でもどうして今燃料が無くなったの?
 前にお兄さん言ってたけど、このストーブの燃料って特別なもので、スキマ妖怪から大量に貰ってるんでしょ?」
「あぁ、そうなんだが……」


はたての言うように、ストーブの燃料は相変わらずあの大賢者から貰っている。
八雲 紫。怪しい雰囲気を醸し出す大妖怪だが、案外抜けているところがあるみたいだ。
……それをここで発揮されるのは御免だったのだが。


「この時期に燃料が尽きてしまったということは、多分、彼女は渡す燃料の量の桁を間違えたんだろう」
「あちゃー、それは仕方ないねー。
 それでお兄さん、一体どうするの? このままじゃどんどん寒くなっちゃうけど……」
「ふむ、そうだね。ストーブは諦めて、簡易だが七輪を探して代用するとしようか」


霖之助は軽く溜息を吐く。これはどうしようもないからそう括るしかないだろう。

なぜなら、燃料を渡してくれるかのスキマ妖怪は、冬の季節は絶賛冬眠中。つまり、どう足掻こうと燃料が手に入ることはないのである。
ならば、今の事態は今あるものでどうにかするしかない。まぁ、この香霖堂、代わりのものは探せばあるはずだ。


「あ、それじゃあ私も手伝うよ。いつも新聞を見てくれるお礼って訳じゃないけど、少しでもお兄さんの力になりたいし」
「助かるよ。長いことストーブを使っていたから、何処に仕舞ったか殆ど覚えてないんだ」
「あはは、だと思ったわ。だってお兄さん、冬はストーブに入り浸ってるもん」


からかうようにはたてが笑う。
そこまで入り浸っているように見えてるのだろうか。……少し恥ずかしい。


「……そりゃもう、スト-ブに嫉妬しちゃうくらいに、ね」
「? 何か言ったかい?」
「ううん、なんでもないっ」


ポツリとはたてが何かを言った気がしたが……気のせいだろうか。


「それより、早く七輪探さないと部屋の温度がどんどん下がっちゃうわよー」
「おっと、そうだね。早く見つけてしまおうか」
「うんっ」


とにかく、今は少しでも早く七輪を見つけることが大事だ。
今日のうちにこの香霖堂で見つけなければ、今日の夜がとても危うくなってしまう。


そして、霖之助とはたての七輪の捜索が始まった。









パチン、と七輪の中から火花がまた一つ散った。

探すのが二人だったからか、七輪は案外早く見つけることが出来た。
ストーブの近くに置くのは危険だったので、七輪はカウンターの近くのスペースに置いてある。
そして、その七輪を取り囲むように、霖之助とはたては椅子を出して座っていた。


「……折角早く見つけたのに、全然暖かくならないね。ちょっと残念」


七輪を間に挟み、霖之助の向かい側の椅子に座っているはたてが呟いた。


「まぁ、七輪の性質上仕方のないことさ。……しかし、すっかり部屋が冷えてしまったね」


言いながら、霖之助は七輪に新しい木炭を入れていく。先ほどからこれの繰り返しだ。

七輪は火を起こし、木炭がある程度燃えるまではかなりの時間がかかってしまう。
結果的に、すでにストーブが止まってから一時間半以上は経ってしまっていた。
いくら霖之助がある程度は着込んでいても、さすがに寒くなって来る。


「結構温度が下がってきてるけど、お兄さん大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ないよ。けれど、そろそろ毛布を持って来るべきか……」


七輪の近くに居るので多少は暖かいが、それでも冬の寒さのほうが勝っているみたいである。

どうしたものかと考えていると、ふと、霖之助はある事を思い出した。


「あぁ、そういえば。はたては『鴉』天狗だったね」
「うん、そうだけど、いきなりどうしたの?」
「ちょっといいかい?」


そう言うなり席を立ち、霖之助ははたての傍に歩み寄る。
そして霖之助は……両手をはたての肩に置いた。


「えっ、お、おにいさん? き、急にどうしたの?」


急なことで驚いたのか、ポフンッと急速にはたての顔が真っ赤になる。
……ただ肩に手を置いただけなのだが、そんなに驚くことだっただろうか。
ともかく、霖之助は思い出した事を確かめる。


「ふむ、やはり温かいね」
「そ、そんなまだ早いって……へっ?」


何を考えていたのかは分からないが、拍子抜けたかのようにはたてが顔を上げた。顔はまだ紅いままだ。
話の途中だったので、霖之助は思い出した事を話し始めた。


「鴉は体温が人より高く、約40℃ほどある。と前に本で読んだんだ」
「へ、へぇ。えと、それで?」
「まさしくその通りで良かった、これで寒さを少しでも凌げそうだよ」
「……あの、お兄さん? もしかして、もしかしなくても、私で暖をとるつもり?」
「あぁ。君は寒さは平気なのだから、こうしていても大丈夫だろう?」


平然とした顔つきで霖之助が言う。
確かに、はたて自身は寒いとは思っていない。思っていないのだけれども。


「んと、まぁ、平気なんだけどさ。これ、すごく恥ずかしいってば……」


上擦った声ではたてはさらに顔を真っ赤にする。
先ほどからずっと見詰め合うような形だから当然だろう。ましてや、それが霖之助だから尚更だ。


「ああいや、ずっとこうしているわけじゃないさ。七輪で部屋が暖まるまで僕の近くに居てくれると嬉しいね」


霖之助ははたての肩から手を離すと、元の自分の席へと戻った。
そして、再び七輪に小さな木炭を追加する。……少しずつだが部屋は暖まって来ているようだ。


「むー、なんだかまるで私が使い捨てカイロみたいじゃないの」
「ん? あぁいや、すまない、そんなつもりではなかったんだが……」


頬を染めながら少し怒ったようにむくれるはたてに霖之助は謝罪した。
確かに、見方を変えるとそう見えてしまうかもしれない。頼む相手に対してこれは失礼だろう。

そんな霖之助の言葉を聞いたはたては、えへへと頬をほころばせた。


「なんてね、怒ってないから大丈夫。私でよければいくらでも温めるわよっ」


言うなりはたてはひょいと立ち上がり、自分の椅子を霖之助の横に置き、そこに座った。
隣にはたての温かなぬくもりを感じる。近くに居るだけですぐに空気が暖かくなったような気がした。


「ど、どう? あったかい?」
「ああ、温かいよ。ありがとう、はたて」
「う、うん。あ、だ、抱きついたほうがいい?」
「ん? あぁ、別に構わないが……?」
「そ、それじゃあ……」


そう言うと、はたては霖之助の片腕にぎゅっと腕を回して抱きついた。
流石鴉というべきか、高い体温が伝わってくる。それと鼓動も。


「お兄さんの腕……えへへ、幸せかも」
「……それは光栄だね」


霖之助の腕に抱きついたまま、はたてはよりいっそう顔を紅くする。……これ以上紅くなって大丈夫だろうか。
そう本人に聞くのも何故だか憚られるので、霖之助はそのまま部屋が暖まるまで待つことにした。


「幸せ、か」
「え?」
「いや、なんでもないさ」


呟き、ゆっくりとまどろんでいく感覚の中で、霖之助は思う。
もしかすると、こんなひと時が、温かさが幸せなのではないか、と。










香霖堂は、店である。
店とはもちろん、お客があってからこそのものである。
そして、お客というのは不特定多数。決して1人だけではない。

つまり、どういうことかというと。



「おーおー……なんだこれ」
「霖之助……さん」
「あーやややや」


それから数時間後、店に来たのは普通の魔法使い、楽園の素敵な巫女、伝統の幻想ブン屋。博麗神社から一緒に来た三人だった。
この三人が客であるというのは些か疑問だが、今、香霖堂に来てしまっていた。
そして店に入った瞬間、全員の目に入って来たのは、ある一つの光景。



『どこか見たことある天狗が、霖之助に抱きついて寝ている』



とりあえず、まずやるべきことは唯一つ。


「「「っ起きろコラァァァァァァァァァァァァ!!!」」」


……その日、幻想郷全体にそんな声が響き渡ったんだとか。

テーマ : 同人小説
ジャンル : 小説・文学

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